結婚指輪の定番といえば、プラチナのアームに多少デザインを加えただけのシンプルなリング。「それでは、シンプルすぎて寂しい」と感じる人も多く、女性用だけに小さなダイヤモンドをあしらったタイプの結婚指輪が増えてきています。婚約指輪のようなゴージャス感はいらないので、せめて、毎日をちょっとハッピーにしてくれる可愛らしい輝きだけでも。そんな女ゴコロに応えてくれる結婚指輪です。
会社の同期だった女の子が結婚するときには、旦那さんと一緒ではなく、なぜかそのお母様と一緒にマリッジリングを選びに行ったそうです。普通結婚する二人で選びに行くのかなと思うので話を聞いて若干引いてしまいましたが、そこで買ってもらったマリッジリングは相当なもので、婚約指輪とのセット使いができるセットリングになっていて、エンゲージのほうには大粒のダイヤ、マリッジリングのほうにそれと流れをなすように小粒のダイヤがちりばめられたものすごく豪華な作りでした。さすがお母様と一緒に行っただけあって、お値段も思っていたものとは桁違いだったそうです。
人はなぜゲームにハマルのかを、プレイ動画や画面写真を見ながら楽しくかつまじめに考える当コラム。今回はゲームの基本的なルールや面白さをプレイヤーがすぐに覚えられるようにするための仕組み、一般には「チュートリアル」や「トレーニングモード」などと呼ばれるシステムについて考えてみることにしましょう。まだゲームを始めたばかりのプレイヤーが、マニュアルを読んだり他のプレイヤーに直接教わったりしなくても、夢中になって遊び続けているうちにいつの間にか上手になってしまうのはなぜなのか? そこには深?いヒミツがいろいろと隠されているのです……。
●プレイヤーの理解を助ける「練習ステージ」の存在
プレイヤーがゲームを楽しむためには、まずは基本的なルールおよび操作方法を覚えることが第一歩。特にアーケードゲームにおいては、お金を払ってくれたプレイヤーに対していかにスムーズにルールを覚えてもらい、ゲームの面白さを理解してもらえるのかが人気すなわちその後の売上を決定すると言っても過言ではありません。
主にアクションゲームにおいては、最初のステージでは難易度を低く抑えておいて先へ進むにつれて徐々に難しくしていく、というのが昔からよくあるお決まりのパターンです。ですが、これとは別に練習専用のステージを用意してから本編へと進ませるという例も少なからず存在します。
古い作品から一例をあげると、タイトーが1983年に発売した「ちゃっくんぽっぷ」ではボタンを押すと主人公のちゃっくんが爆弾を投げるようになっていますが、爆弾を投げるためのボタンが1個ではなく2個ついているのがこのゲームのミソ。本作では、ちゃっくんの向いている方向に関係なく左側のボタン押すと左に、右ボタンを押すと右へ爆弾を投げるというとてもユニークなルールになっているので、人によっては「なんでボタンが2個もあるの?」「もう1個のボタンはジャンプ用のボタンなの?」などと最初に疑問を持ってしまうかもしれません。
そこで、この独特の操作方法をすぐにマスターしてもらえるよう、本作では1面が「練習ステージ」として登場するようになっています。まずは「ちゃっくんぽっぷ」のムービーでその様子をご覧になってみてください。
※PS2版「タイトーメモリーズ下巻」を使用
(C)TAITO CORP. 1978-2005
いかがでしょうか? ステージ構成をあらてめてよく見ますと、最初の敵およびハートに向かって爆弾を投げるときは右方向、途中の敵を倒すためには左方向に爆弾を必然的に投げるようなデザインになっていて、プレイヤーが自然と基本操作を覚えられるようにあらかじめ計算して作られていることが分かりますよね!
また、ナムコ(現:バンダイナムコゲームス)が1984年に発売した「リブルラブル」でも初めに練習ステージが登場します。本作もレバーを2本同時に動かしてプレイするという独特のシステムになっていましたから、開発者が「プレイヤーが操作に慣れてもらうための練習の場が必要だろう。」と、考えて練習ステージの導入を決めたものと思われます。実際、筆者も初めて遊んだときには「なんて便利なんだ!」と感動した思い出があります。
このような練習ステージを使ってプレイヤーにゲームのイロハを教える方法は、もちろん家庭用においてもたくさんの実例があります。古い作品から一例を挙げてみますと、現チュンソフト社長の中村光一氏が作ったことでも有名な、1985年にエニックス(現:スクウェアエニックス)が発売したファミコン用ソフトの「ドアドア」。本作は主人公のチュン君を操作して、敵をドアの中に誘導して閉じ込めていくというゲームですが、最初は「ROUND00」というごく簡単な構成の練習専用ステージが登場するようになっていて、ここをクリアすると「ROUND01」すなわち1面がスタートするようになっています。
●実際に遊びながら初心者をサポートする「ガイド機能」
ここからは「練習ステージ」の代わりに「ガイド機能」を用意することで、プレイヤーに遊びながらルールを覚えてもらえるよう工夫をしていた例を取り上げてみましょう。
以前の当コラムでも紹介した、いわゆる落ち物パズルゲームでセガが1990年に発売した「コラムス」、およびナムコが1992年に発売した「コズモギャング・ザ・パズル」がまさのこの典型例です。「コラムス」では宝石を縦・横・ナナメのいずれかに3個以上、「コズモ・ギャング・ザ・パズル」では敵のコズモをボールをぶつけて倒すか、コンテナを横一列に並べると画面から消去されて得点になるルールになっています。
両作品とも、ゲーム開始時にプレイヤーの腕に合わせて難易度が選べる(※)ようになっているのですが、最も難易度が低いEASYモードで始めるとプレイヤーが操作できる宝石やコンテナを得点が入るライン上に移動させるとカーソルが点滅し、得点ゾーンをしばらくの間知らせてくれるようになるのです。この「ガイド機能」によってプレイヤーはなぜ得点が入るのか、すなわちゲームの基本ルールがより理解しやすくなるというワケです。
※筆者注:「コラムス」はEASY、MEDIUM、HARDの3種類、「コズモ・ギャング・ザ・パズル」はEASY、NORMAL、HARD、EXPERTの4種類のモードがあります。
また、コナミのシューティングゲーム「パロディウス」シリーズでは、初心者向けのオートパワーアップ機能が搭載されたものがあります。本シリーズはその原型となった「グラディウス」シリーズと同様、敵を倒したりすると出現するカプセルを集めて、パワーアップゲージが光ったときにボタンを押すといろいろなパワーアップが自機に装着されるシステムになっているのですが、初めて遊ぶ人にとってはどのパワーアップをどのタイミングですればいいのか、なかなかピンとこないのではないでしょうか?
そこでゲーム開始時に「AUTO(オート)」を選択しておけば、カプセルを取るだけで自動的にパワーアップを選んで装備を強化してくれるオート機能が作動するので、プレイヤーは敵を倒すことに専念しながらゲームに慣れることができるのです。また、同時に各種パワーアップの効果を覚えるためにも役立ちますので、これも「ガイド機能」の一種であると言えるでしょう。
以下のムービーは、1990年に発売されたアーケードゲーム「パロディウスだ!」の「AUTO」を使用してプレイしているところです。ひたすら敵を撃ってカプセルを集めているうちに、どんどんパワーアップしていることがおわかりいただけることでしょう。なお、続編の「極上パロディウス」では「AUTO」以外に「SEMIAUTO」機能も追加され、後者を選ぶと自動パワーアップとプレイヤー自身が好きなタイミングでパワーアップできるマニュアル操作の両方を併用できるようにもなっていました。
●習うより慣れろ! トレーニングを楽しくすることでますますヤミツキに
野球の上達には、素振りやキャッチボールなどの日々の基礎練習が欠かせません。しかし、どんなに野球が好きな人であっても素振りのようにボールを使わず単調なトレーニングを毎日続けるのは、体力的にも精神的にも少なからず苦痛をともなうことでしょう。
ゲームもまたしかりで、うまくなるにはやり込みすなわちトレーニングを繰り返し行うことが必要です。プレイヤーの上達を助けるために、本編とは別にトレーニング専用のモードを用意した作品が古今東西たくさんありますが、単なる練習ではなくトレーニング中もゲームすなわち遊びの要素を盛り込むことによって、より楽しくプレイできるように工夫を凝らした例も調べてみるといろいろあることがわかります。
例えば、野球ゲームの定番シリーズであるコナミの「実況パワフルプロ野球」。本シリーズでは投球およびバッティングなどの練習をするためのキャンプモードがありますが、バッティング練習ではホームランやヒットを打ったときに、投球練習では指定のカーソル内にボールを投げたときに得点が入り、一定の球数ごとにハイスコアを集計するというミニゲーム形式になっているのです。以下のムービーは、この得点集計のシステムが最初に導入された1996年発売のスーパーファミコン用ソフト「実況パワフルプロ野球3」のプレイ動画です。
このように、ちょっとした遊びの要素を加えるだけで単に投げたり打ったりするよりも面白さが格段に増し、楽しみながら自然と操作技術が上達できるようになるのです。このアイデアを最初に考えた方は本当に素晴らしいと筆者は素直に思います!
さらに、1995年に同じくコナミが発売したスーパーファミコン用ソフト、「実況ワールドサッカー2」でもトレーニングを面白くする工夫をしています。
本作ではパスやシュートの基本操作以外にも、ボタン入力の組み合わせでさまざまなキックやフェイントなどが使えるようになっているので、これらの使い方をひと通り覚えるのは誰でも少なからず時間がかかります。しかしトレーニングメニュー内のチャレンジモードを選択すると、ゲーム形式で楽しく操作方法が学べるようになるのでまったく苦痛になりません。ドリブル練習時はフラッグ(旗)を通過しながらいかに速くシュートを決められるかを競う形式となり、シュートおよびフリーキック練習では、特定のポイントにボールを蹴るとそれに応じたボーナス得点が入るようになっていて、しかもハイスコアを更新すると自動的にセーブされるという実に凝った設計になっているのです。
実際、筆者は本作を買ったばかりの頃にトレーニングモードがあまりにも面白かったため、時間を忘れて一晩中練習だけを遊んでしまったことがあります(本当!)。
「楽しくトレーニングができる」ゲームとして、筆者が今でも強く印象に残っているのは1996年にナムコがプレイステーション用ソフトとして発売した対戦格闘ゲームの「鉄拳2」があります。
本作のトレーニングモードにはテクニックに応じた得点表示こそありませんが、技がヒットしたときにHigh(上段)、Mid(中段)、Low(下段)と書かれたヒットマークが表示されるため、どの技を使えば相手のどこを攻撃できるのかが明確に分かります。また、連続で技がヒットした場合はコンボ数が表示され、さらに与えたダメージ量の合計も瞬時に計算してくれるので実に便利。しかも、画面下部にはプレイヤーが入力したボタン操作の履歴がすべて表示される仕組みになっているので、コマンド入力が必要な必殺技の練習もこれさえあればもうバッチリです!
なお余談になりますが、本作の攻略本を執筆していた知人の某ライターが、「このトレーニングモードはマジでヤバイ(=最高)でしょ!」と、真剣に語りながら夜な夜な研究に没頭している姿を私は何度も目撃しました(笑)。
また、1995年にクエストが発売したスーパーファミコン用シミュレーションRPGの「タクティクスオウガ」のトレーニングも実によくできています。本作のトレーニングコマンドは自軍のユニット同士を戦わせる形式になっているのですが、単にプレイヤーが操作やユニットごとの特徴を学ぶだけでなく、各ユニットが活躍に応じて経験値が入り、レベルアップすれば能力が上がるようにもなっているのです。もちろん、トレーニング中にHPがゼロになって消滅したユニットは本編に戻ればちゃんと復活しますので、一切リスクを負うことなく安心して練習ができるのも大きなメリットとなります。
このように、ただ「投げるだけ」や「たたくだけ」の単純な動作を繰り返すだけでなく、ゲーム的な要素を盛り込むことでプレイヤーはいつの間にか夢中になって遊んでしまうのです。
●まだまだあります! 初心者に優しいこんなサービス
「コラムス」と「コズモギャング・ザ・パズル」では、あらかじめ難易度が選べることを先ほどお話しましたが、もし仮にモード選択機能がなく、HARD設定の難易度でしか遊べなかったとしたらどうなるでしょうか?
おそらく、ほとんどの人があっという間に詰んで(=ゲームオーバー)しまい、「こんな難しいゲームは二度とやるもんか!」と怒ってしまうのではないかと思われます。「ガイド機能」を搭載したり、宝石およびコズモ、コンテナがゆっくりと降下するEASYモードを用意することで、プレイヤーはゲームに慣れるための時間が十分に取れるからこそ、途中でゲームオーバーになってもある程度満足または納得感が得られるわけです。
このように初心者がすぐゲームオーバーにならないように、ゲームを慣れさせるための時間をある程度とれるように配慮した例もたくさんあります。
その中でも筆者が印象に残っているのは、1985年に任天堂が発売したファミコン用ソフトの「マッハライダー」。本作のファイティングコースというゲームモードでは、主人公のライダーが障害物などに触れるとミスになり、ライダーのストックがゼロになるとゲームオーバーとなるルールになっています。ですが、実は最初のコースに限りライダーはいわゆる「ライフ制」になっているので、ミスを繰り返してもしてもライフが残っている間は何度でもリスタートすることが可能です。このおかげで、初めのうちはプレイヤーがかなりの回数のミスをしても許されるよう配慮されているのです。
それから、うろ覚えでたいへん恐縮なのですが、セガが1983年に発売したアーケード用シューティングゲームの「アストロンベルト」でも同様のシステムを採用していました。本作では、ゲーム開始から1分間は自機が何度やられても再スタートができるようになっていて、1分経過後は残機制へとシフトするシステムになっていたと記憶しています。そのおかげで、当時はまだ子どもだった筆者もLD(レーザーディスク)を使用したリアルな宇宙空間のグラフィックをじっくり味わい、大きな感動を得ることができました。1プレイ100円という大出費も、「これなら惜しくはない!」と、素直に思えましたね(笑)。
また、こちらもKONAMIの人気シリーズである「悪魔城ドラキュラ」にも面白い初心者救済システムがあります。本シリーズの第1弾であるファミコン版には、1986年に発売されたディスクカード版と、1993年に発売されたROMカセット版の2種類があるのですが、実は後から登場したカセット版には初心者用のEASYモードが新しく追加されています。
本作では、主人公が敵の攻撃を受けると後方に吹っ飛ばされるようになっているため、もし背後に足場がなかった場合はそのまま画面外に落ちて即死してしまう、なんてケースがしばしば起こります。しかし、カセット版のEASYモードでは「吹っ飛び」の動作が一切なくなるため、例えダメージを受けても体勢が崩れないので立て直しがしやすくなっているのです。つまり、プレイヤーに次の行動を考えるための時間的余裕を与え、ゲームの難易度を大幅に下げるる効果があるということになりますね!
※ファミコンディスクシステム版「悪魔城ドラキュラ」を使用
と、いうわけで、久々の更新となりました当コラムをお読みになったご感想はいかがでしたか。筆者の個人的な思い出話を交えつつ古いゲームの例を挙げていろいろお話したわけですが、実は現在トレンドとなっているモバゲータウンやGREEなどで配信されているソーシャルゲームにおいても、同じようなノウハウを用いてプレイヤーを引き込んでいることにみなさんはお気づきになったでしょうか?
ゲーム開始直後に、「進む」のボタンをただ押すだけで勝ててしまうメチャクチャ弱い敵が出てきたり、最初だけ特定のボタンの色を変えたり光らせたりして重要な操作方法を教えたり、あるいはナビゲーター役のお姉さんや教官が出てきて、「ここはこうしろ、ああしろ!」とガイドしてくれるなどなど……。時代やプラットフォームは変われども、プレイヤーにいち早くゲームに慣れてもらいゲームにハマルためのノウハウは脈々と受け継がれているというわけですね。
それでは、また次回!
●今回登場したソフトはココで遊べます!
・「ちゃっくんぽっぷ」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ下巻」
・「リブルラブル」:Wiiバーチャルコンソール
・「コラムス」(※メガドライブ版):Wiiバーチャルコンソール
・「コズモギャング・ザ・パズル」:Wiiバーチャルコンソール
・「パロディウスだ!」:プレイステーション(※「極上パロディウスだ! DELUXE PACK」に収録)
・「鉄拳2」:プレイステーション、プレイステーション2(※「鉄拳5」に収録)、PS3,PSPゲームアーカイブス
・「タクティクスオウガ」:Wiiバーチャルコンソール
・「マッハライダー」:Wiiバーチャルコンソール
・「悪魔城ドラキュラ」(※ディスクシステム版):Wiiバーチャルコンソール
●著者プロフィール
鴫原 盛之 Morihiro Shigihara
1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。Twitterは「@m_shigihara」です。
○著者近況
ここ最近は殺人的な忙しさのため、久しく更新ができずにたいへん申し訳ございませんでした(ペコリ)。何せムック本、攻略本、隔月誌、月刊誌、週刊誌の仕事がいっぺんに舞い込んできてしまったので連日連夜の……(※以下自主規制)。
さて、筆者はさる10月1日にDiGRA JAPAN(日本デジタルゲーム学会)の場をお借りして「メディアの変遷とゲーム会社の対応」と題した研究会を、IGDA日本(国際ゲーム開発者協会日本)代表の小野憲史さんをはじめとする多数の方のご協力のもと実施いたしました。当日の内容は池谷勇人さんの「日々是遊戯」でも紹介されていますので、まだご覧になっていない方はぜひご一読ください。
なお、同じくゲームメディアを題材とした次回研究会の開催も現在思案中です。実施が決定しましたらDiGRAのホームページなどでお知らせしたいと思いますので、もし興味のある方はぜひご参加いただければ幸いです。